― 最大需要電力の削減で基本料金も下げられる? ―
■ 工場の電気代、意外と重い「基本料金」の仕組み
多くの工場で電気代削減といえば、「使用量の節約」を思い浮かべるかもしれません。しかし、見落とされがちなのが「基本料金」の存在です。
これは工場が電力会社と契約する際に設定される「最大需要電力(デマンド)」を基準に計算され、実際の電気使用量に関係なく毎月支払わなければならない費用です。
特に製造業では、大型機械や空調設備の稼働により一時的に高い電力を使用する瞬間(ピーク)があり、それが基本料金を押し上げる要因になっています。
■ ピークカットとは?無駄な“最大”を抑える考え方
「ピークカット」とは、特定の時間帯に電力使用量が急上昇するのを抑え、最大需要電力を低く保つための取り組みです。1年の中で発生する使用電力のピークを抑制できれば、契約電力を抑え基本料金の削減につなげることができます。
たとえば、電気炉やコンプレッサー、大型モーターなどの起動タイミングをずらす、空調のON/OFFを制御する、といった工夫が効果的です。
■ 太陽光発電がピークカットに効く理由
ここで注目されているのが「自家消費型太陽光発電」の活用です。太陽光は日中に発電し、その場で消費されるため、ちょうど工場の稼働ピークと重なりやすい特性があります。
つまり、太陽光で発電した電気を使うことで、電力会社からの買電量を減らし、その時間帯のピークを押さえられるというわけです。
■ 導入のポイント:“発電タイミング”と“負荷の見える化”
効果的にピークカットを実現するには、太陽光の発電タイミングと、工場の電力使用パターン(負荷曲線)をしっかり把握することが重要です。
そのため、導入前にはデマンド監視装置やエネルギーマネジメントシステム(EMS)などを使って、リアルな使用状況を「見える化」しておくことが推奨されます。
さらに、太陽光の出力を最大限活用できるように、過積載設計(パネル出力>パワコン出力)を検討するのも効果的です。
■ 太陽光+EMSで“賢い工場経営”を実現
最近では、太陽光発電と連携して、電力の使用量・時間帯を自動で調整するEMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入も進んでいます。
これにより、電気の使用状況をリアルタイムに把握し、必要に応じて負荷制御を行うことで、ピークカット効果をさらに高められます。
「発電量に合わせて電力の使い方を変える」ことで、エネルギー効率の高い運用が実現できるのです。
■ まとめ:太陽光は“削減効果のダブルパンチ”
太陽光発電の導入によって、工場の電気代は**「使用電力量の削減」+「基本料金の削減」**という“ダブルの効果”が期待できます。
中長期的なコスト削減と、エネルギー価格の高騰リスクに備えた対策として、ピークカットの視点を持つことは非常に有効です。
脱炭素・再エネ対応という社会的な要請にも応えながら、収益構造の改善まで実現できる――まさに経営に直結するエネルギー戦略として、太陽光発電を活用してみてはいかがでしょうか。