太陽光発電に代表される再生可能エネルギーの設置やこれらを利用した投資を検討されている方に向けて、売電情報をまとめてご紹介します。太陽光発電の売電情報はもちろん、その他の再生可能エネルギーの売電価格についても紹介しています。FIT(固定価格買取制度)終了後の対応例なども含めて解説します。
再生可能エネルギーを活用した売電について
電気を売る(売電する)という考え方
以前は消費者にとって電気は、電力会社から購入して消費するということが当たり前のものでしたが、近年では一般家庭で発電された電気を電力会社が買い取るという取引は珍しくありません。自宅で発電した電力を電力会社に売るという考え方や仕組みも充実してきました。
あくまで発電の目的は自家消費であり、自宅の消費電力を自家発電でまかなった上で余剰電力を売るという人、最初から売電目的で発電を行い、大量の発電施設を導入して電気を売る人など、さまざまな考え方で売電が行われるようになりました。
売電できる太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー
売電できる内容として、再生可能エネルギーを活用した発電が挙げられます。再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出せず国内で生産できるため、国が活用を促進しています。特に太陽光発電の普及が進んでおり、今後さらに普及が進んでいく可能性があります。
詳しくは後ほど紹介しますが、太陽光以外の再生可能エネルギーとしては、風力、水力、バイオマスなどが挙げられます。
再生可能エネルギーを活用した売電について
FITにより売電価格は一定期間保証される
売電価格は年によって変動しますが、FIT(固定価格買取)制度(※)により、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が「一定価格」で「一定期間」買い取ることが約束されています。そのため、売電価格が低下しても一定期間は一定の収益が得ることができます。
※固定価格買取制度:「FIT法:電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき、2012年開始された制度。Feed-in Tariffの頭文字から「FIT制度」と呼ばれる。また、2017年に「改正FIT法:再生可能エネルギー特別措置法の一部を改正する法律」が施行されたことで、「改正FIT制度」とも呼ばれる。
FIT期間終了後の売電について
FIT制度で定められた期間の終了後に売電するためには、小売電気事業者などと独自に契約を結ぶなどの手段があります。また、各電力会社が独自に提示する「卒FIT買い取りサービス」で、新しい売電価格の契約を結ぶという方法もあります。
太陽光発電の売電価格
再生可能エネルギーを活用した売電の中でも、特にメジャーであり近年急速に普及が進んでいるものが太陽光発電です。ここでは太陽光発電の売電価格を紹介します。
FIT期間の売電価格
規模が10kW未満の場合、2020年度の売電価格は21円/kWhです。先述のFIT制度により、2020年度以降に価格が下がっても、10年間は21円/kWhで買い取ることが定められています。
売電価格の推移
太陽光の売電価格は年々下がってはいますが、これは太陽光発電システムの導入コストの低下に伴うものであるため、売電価格の低下がそのまま売電の損得を表しているわけではありません。今後も売電価格の低下傾向は続く見込みですが、経済的メリットがなくなるわけではないと考えてよいでしょう。
その他の再生可能エネルギーの売電価格
バイオマス発電
「バイオマス」とは、動植物等の生物から作り出される有機性のエネルギー資源で、そのエネルギー資源を燃焼して発電する方法を「バイオマス発電」といいます。燃料としては廃棄されるものを利用しているため、廃棄物の残りからエネルギーを取り出して利用することで効率よくエネルギーを活用することができます。バイオマス発電の利回りは最大13〜14%と言われており、投資家からの期待も高くなっています。
バイオマス発電の売電価格は材料により異なりますので、経済産業省のHPをご参照下さい。
(https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200323005/20200323005.htm 経済産業省HP)
中小水力発電
水資源の豊富な日本において、水力発電は古くから利用されてきた発電方法です。その中でも小規模な発電設備である小水力発電は、環境に与える影響が少なく、小さな川や用水路でも発電でき、比較的安定した発電量の確保が可能であるため、エネルギー源として期待されています。
中小水力発電の売電価格は200kW未満で2020年9月7日の時点で34円の売電価格となっています。
売電制度は変化する?(FIT制度からFIP制度へ)
FIT制度は再生可能エネルギーの普及を目的とした制度であり、太陽光発電をはじめとした発電システムの導入増加に大きく貢献しました。しかし、売電価格の設定が難しく、市場原理が働きにくいといった問題も指摘されています。また、FIT制度が定められたFIT法は措置法であるため、2020年度末までに制度の見直しが必要とされています。
FIT制度に代わる売電制度としてFIP(Feed-in Premium)制度が話題に上がることがあります。FIP制度とは、市場原理に応じた売電価格(卸電力市場で実際に売れる価格)にPremium(割増金)を上乗せするシステムです。しかし、FIP制度への移行は日本ではまだ先の話であると考えられます。
FIP制度の目的は再生可能エネルギーの自立を後押しし、自由競争を促すことです。そのため、発電事業者は市場競争に参入することになるため、設備開発費などの負担が増大する可能性があります。日本は現状再生可能エネルギーの普及をさらに進める必要がある段階であるため、新規で売電に参入するハードルを上げる可能性のあるFIP制度の導入は難しいと言われています。
まとめ
太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの普及が進んでおり、以前と比べて売電への考え方も多様化しています。再生可能エネルギーにはさまざまな種類がありますが、新たに導入するなら近年最も注目されている太陽光発電がおすすめです。
売電価格は低下傾向にありますが、同時に導入にかかる費用も低下しており、今後も再生可能エネルギー普及の促進は進んでいくと考えられるため、太陽光発電の導入価値は十分だと言えるでしょう。