エコへの関心や節電などのメリットから、ここ数年太陽光発電を検討する人が増えてきています。検討のためにも、太陽光発電について仕組みを理解する必要があります。この記事では、太陽光発電の仕組みについて、紹介していきます。ぜひ検討の前にご一読ください。
太陽光発電の仕組み
太陽光発電は、太陽電池を利用して太陽の光エネルギーを電気エネルギーへと変換する発電方式です。シリコンなどの半導体が有する「光電効果」という作用を利用した方式であり、火力発電のように「燃焼」をともなわず発電を行うことができます。そのため、温室効果ガスの排出を防げることから、地球温暖化対策として注目を集めています。
太陽電池には「電池」という言葉が使われているため誤解されることがありますが、一般的な電池のように電気を蓄えておく機能はありません。太陽光発電で発電した電気を太陽が出ていない夜間に使ったり、災害に備えて貯めておいたりするためには、「蓄電池」が必要です。蓄電池については別の記事で紹介しているので、ぜひご参照ください。
太陽電池の仕組み
前述のとおり、太陽電池はシリコンなどの半導体で作られており、半導体に光が当たることで発電します。詳しく覚えておく必要はありませんが、仕組みとしては次のとおりとなります。
シリコンを用いた太陽電池は、伝導電子（端的にいえば活発な電子）が多い「N型」のシリコンと、伝導電子が少ない「P型」のシリコンを重ね合わせた構造をしています。この二つのシリコンの接合部に光が当たると、電子（－）と正孔（＋）が発生し、電子はN型半導体側へ、正孔はP型半導体側へと引き寄せられます。この状態でN型半導体側とP型半導体の両端に電球などの負荷を接続することで電流が流れ出します。
太陽光発電システムを構成する機器とそれぞれの役割
太陽光発電システムは「システム」という言葉が示すとおり、複数の機器が集まって構成されており、それぞれの役割を担っています。以下、各機器について詳しく紹介していきます。
太陽電池モジュール
太陽電池モジュールは太陽光発電システムの中核を担うとも言える機器で、太陽光から吸収した光エネルギーを直接電気エネルギーに変換することが主な役割です。「太陽光パネル」「ソーラーパネル」とも呼ばれ、一般的にこのパネル状になった製品を「太陽電池」と呼びます。住宅や公共施設の屋根に見られるパネルはこの太陽電池モジュールです。
太陽電池モジュールは、先述の太陽電池が複数集まったものです。太陽電池モジュールの構成単位として「セル」「モジュール」「アレイ」があり、セルは太陽電池そのものを指し、モジュールはセルの集合体、アレイはモジュールの集合体を指します。
太陽電池モジュールの性能によって、同じ量の太陽光が当たった場合でも発電できる電力の量が変わってきます。光エネルギーを電気エネルギーに変換した割合を変換効率と呼びますが、エネルギー変換の際には必ずロスが生じるため、変換効率が100%になることはありません。そのため、太陽電池モジュールの変換効率が高ければ高いほど多くの電力を生み出すことができます。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナーは、太陽光パネルで発電した電力を、家庭で使用できる電力に変換する役割を果たす機器で、「パワコン」「PCS」と呼ばれることもあります。太陽光パネルで発電した電力は「直流電力」という電気ですが、家庭で使用される電力は「交流電力」であるため、変換をする必要があります。この変換の役割を担う機器がパワーコンディショナーであり、「システムの心臓部」と言われることもあるほど重要な機器です。
パワーコンディショナーで「直流電力」から「交流電力」へ変換する際の効率を変換効率といいます。
この変換効率が高いほど、電流変換時にロスが少ないことを意味します。
そのため、パワーコンディショナーを購入する際の一つの判断材料として変換効率を意識して比較検討を行いましょう。
また、パワーコンディショナーには電力の変換の他にも、事故を防ぐための周波数や電圧調整機能や、製品によっては停電時でも太陽光発電で生成した電気を使用するために自立運転をする機能も備えています。
分電盤
分電盤は、パワーコンディショナーで変換された電気を各部屋のコンセントに分けて送る役割を果たします。加えて、家庭内で電気を消費したのちに余った分を、送電線に送り出す側に振り分ける機能もあります。
電力量計
電力量計は、電力会社から購入した電力や電力会社に売却した電力を計量するメーターです。太陽光発電システムで作った電気を売電する際、売電用の電力量計が必要で、既に設置されている買電用メーターの隣に設置されることが一般的です。
接続箱
接続箱とは、太陽電池モジュールとパワーコンディショナーをつなぎ、エネルギーを取りまとめるための装置です。接続箱には最大入力電圧が定められているため、ソーラーパネルの規模に合った最大入力電圧の接続箱を選定する必要があります。
まとめ
太陽光発電の仕組みを理解いただけたでしょうか。太陽光発電システムは多くの機器から構成され、それぞれ違った役割があるため、全て理解して選ぶのは難しいかもしれません。ぜひとも信頼できる業者を見つけ、相談しながら太陽光発電の導入を検討してみてください。
