太陽光発電を導入する際には、「発電効率」に注目することが利益拡大の観点から重要だと言われています。この記事では発電効率の概要や計算式、発電効率を左右するものは何かについて紹介していきます。
発電効率の概要
発電効率とは、電気以外のエネルギーをどれだけ電気エネルギーに変換できたかという割合のことです。一般的に居住用の住宅に設置される太陽光発電システムの発電効率は、最大20%程度だと言われています。
発電効率に注目するべき理由
発電効率が高いほどエネルギーロスが抑えられ、エネルギーを最大限活用できることを意味します。燃料の量や設備の規模が同じ場合、発電効率が高いほど多くの電気を生成可能です。価格が安くて発電効率が低い設備と価格が高くて発電効率が高い設備があった場合、後者の方が長期的に見たコストは安くなるケースもあるため、発電効率に注目することは重要だと考えられます。
発電効率が100%にならない理由
エネルギーは形態を変換するとき、さまざまな種類のエネルギーに分散されています。そのため、特定のエネルギーを異なったエネルギーに100%変換することは不可能です。電気エネルギーに変換する際も例外ではありません。
太陽光発電も、光エネルギーから電気に変換する際にエネルギーのロスが生じます。その理由の1つは、太陽光発電システム内部の配線や回路などの電気抵抗です。白熱電球に光を付けると電球が熱くなるのと同じ現象で、エネルギーの変換の際に一部が熱エネルギーとなり、その分がロスとなって発電効率が下がります。
他の理由として、太陽光パネルに反射して当たらない分もロスになっているということがあげられます。徐々にエネルギーが分散されることで発電効率が減少してしまいます。
発電効率の計算式
発電効率の計算式は「以下のように表されます。
発電効率=電気出力÷エネルギー× 100(%)
この数値が高いほど、少ないロスで電気エネルギーに変換できることを示します。
ソーラーパネルごとの発電効率の違い
ソーラーパネルは太陽光発電システムの中でも中核を担う機器であり、ソーラーパネルの性能によって太陽光発電の発電効率が左右されます。
ソーラーパネルを評価する指標「モジュール変換効率」と「セル変換効率」
ソーラーパネルを評価する指標となるのが「モジュール変換効率」と「セル変換効率」です。
モジュール変換効率とは、太陽光パネル(太陽電池モジュール)の1㎡あたりの変換効率を表す指標であり、太陽光パネルの発電能力を表す指標として一般的に使われています。
モジュール変換効率の計算方法は以下のように表されます。
モジュール変換効率=(モジュール公称最大出力(W)×100)÷(モジュール面積(㎡)×1000(W/㎡))
セル変換効率とは、太陽電池セル1枚あたりの変換効率を表す指標です。セルとは太陽電池モジュールを構成する構成部品です。セル変換効率は、セルを繋げた時の電気抵抗が考慮されていないため、モジュール変換効率に比べて数値が高くなる傾向にあります。そのため、セル変換効率で発電効率が表示されていても、実際はその数値ほど発電効率が高くないことがあるので、注意しましょう。
セル変換効率は、以下の計算式で導き出すことができます。
セル変換効率=出力電気エネルギー÷太陽光エネルギー×100
パネルの素材による発電効率の違い
太陽光発電の発電効率は、太陽光パネルの素材によっても左右されます。太陽光パネルの素材でよく使われるものは、シリコン系、化合物系の2つです。
この2つのうち、最もよく使われている素材はシリコン系で、全体の8割以上を占めると言われています。特に「単結晶シリコンパネル」という種類のパネルは発電効率が高く、少ない面積設置でも多くの発電が期待できるため、一般的な住宅のように限られたスペースに導入するのに適しています。ただ、純度が高い単結晶シリコンはコストが高く、比較的高価な製品が多いです。
同じシリコン系でもコストを抑えたものが「多結晶シリコンパネル」です。太陽電池を作る過程で不良となったシリコンなどを再利用して製造しており、低コストで大量に生産することが可能です。単結晶シリコンに比べて安価ですが、面積当たりの発電効率は劣ります。
化合物系ソーラーパネルは、最近生産量が急増しており、次世代パネルとして注目を集めています。シリコン系に比べて発電効率は落ちますが、コストが安いことが最大のメリットです。また、経年劣化に強いと言われており、課題である発電効率が改善されれば今後広く用いられることが期待できる素材です。
まとめ
太陽光発電の発電効率によって、同じ設備、同じエネルギー源でも発電量が変化します。100%にすることは不可能ですが、可能な限り高めることで効率的に電力を生成することができます。
太陽光発電の発電効率はソーラーパネルによって大きく左右されます。パネルの性能や素材によって変化しますが、発電効率が高いパネルはコストも高くなる傾向があります。
導入時には、発電効率とコスト両方を考慮して、それぞれの目的や状況に合ったパネルを選択しましょう。