ZEH(ゼッチ)とは、エネルギーゼロ住宅とも呼ばれ、太陽光発電などでエネルギーを創り出し、エネルギー収支ゼロをめざす住宅のことです。この記事では、ZEHの種類やメリット・デメリット、補助金の条件などについて詳しく解説します。
ZEHとは
ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、経済産業省資源エネルギー庁の定義によると、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」とされています。
ZEHとして認められると補助金の申請をすることができます。そのためには要件が定められており、そのポイントは「断熱」「省エネ」「創エネ」という3つの要素です。ZEHはいくつかの種類に分けられており、以下でその種類の一部を紹介していきます。
ZEH
ZEHの要件は以下のように定められています。
「断熱」+「省エネ」による省エネルギー率:20%以上
「創エネ」(再生可能エネルギー)を含む省エネ率:100%以上
断熱、省エネ、創エネによって年間の一次エネルギー消費量を「0%以下」に抑えることが求められます。しかし、都心部で屋根の面積が小さい場合など、創エネのために十分な大きさの太陽光パネルが設置できないこともあります。その場合、上記のZEHの要件は満たさないもののそれに近いものとして、Nearly ZEHというものも定められています。
Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)
Nearly ZEHの要件は以下のように定められています。
「断熱」+「省エネ」による省エネルギー率:20%以上
「創エネ」(再生可能エネルギー)を含む省エネ率:75%以上
都心狭小地などでは土地の面積・延床面積、日照時間や屋根面積が限られているため、断熱性能などの住宅性能は十分でも、太陽光発電などの再生可能エネルギーが住宅で使用する電力を賄えないためZEHの要件を満たせないことがあります。それらの住宅がNearly ZEHに該当します。
その他の種類のZEH
これら以外に、ZEH・Nearly ZEHにさらに要件を加えたZEH +(ゼッチ プラス)や、Nearly ZEH +(ニアリー ゼッチ プラス)、住宅を建てる場所によって決まるZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)があります。詳しくは経済産業省HPをご参照下さい。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html(経済産業省資源エネルギー庁)
ZEHのメリット
光熱費を抑えることができる
ZEHの特徴は「高断熱」「省エネ」「創エネ」の3つであるため、住宅の断熱性能が高く、設備の性能も高いため、自宅で使用する電力を最小限に抑えることができます。加えて、太陽光発電システムにより自宅の電力を創出することでエネルギーの消費を抑えることが可能です。
停電時にも電力を使える
太陽光発電システムと蓄電池を設置すれば、停電が起きた際でも蓄電池に貯めておいた電気が使えるようになります。蓄電池については別の記事で詳しく紹介しますが、停電時に電力が使えるだけでなく、日没後や曇天・雨天時も太陽光で発電した電気を使うことができるため、先述の光熱費削減にもつながります。
補助金を申請できる
なるべく多くの方がZEH仕様の住宅を建てやすいように、国が補助金を出し、普及を促進しています。詳しくは環境省HPをご参照ください。
https://www.env.go.jp/earth/post_64.html(環境省 地球環境・国際環境協力)
補助金は、省エネ設備機器等によって金額・適用基準が異なります。詳しくは担当の建築会社さまにもお尋ねください。
ZEHのデメリット
設備費がかかる
ZEHの条件を満たすためには、従来の家よりも性能を高めるため省エネ・創エネ設備が必要です。これらの設備を導入するための初期導入コストがZEHではない住宅よりも多くかかる点はデメリットの一つです。
外観デザインや間取りに制限が出る
ZEHの基準を満たすために、外観デザインや間取りに制限が出る可能性があることがデメリットとしてあげられます。特に多いケースが屋根の形が制限されることです。十分なエネルギーを確保するために大型の太陽光パネルを設置するためには向きが自由に選べず、片流れ形の屋根に限定されてしまうことがあります。また、間取りの制約に関しては、エネルギー消費量を抑えるためLDKを小さくするなどの制約が生じる場合が考えられます。
天候に左右される
ZEHは太陽光発電システムが導入されることが一般的ですが、太陽光発電は天候によって発電量が上下します。日照時間が短い梅雨や冬の時期は発電量が減る傾向にあることはデメリットの一つだといえます。
まとめ
ZEHは通常の住宅に比べ初期コストは高くなってしまいますが、住みやすさと省エネを両立させた住宅であり、光熱費の削減や停電時でも電気の使用ができるなどのメリットがあります。課題となるコストも、補助金を活用することで一部を補填することができます。
補助金の金額や条件はZEHの種類によって異なるため、どの要件を満たすのか理解しておく必要があります。補助金の内容や条件、申請時期は毎年異なるため、経済産業省・環境省のHPなどの情報を参考にしてください。